アルコール性肝臓病は飲酒量が多いほど、また飲酒期間が長いほど起こりやすくなります。事実、アルコール依存症者(毎日日本酒にすると5合以上を10年以上飲んでいる人たちがほとんど)における肝障害は約80%と高頻度です。
*アルコール摂取量の基準とされるお酒の1単位とは、純アルコールに換算して20gです。
この1単位を各種アルコール飲料に換算すると、ビールは中びん1本(500ml)、日本酒は1合(180ml)、ウイスキーはダブル1杯(60ml)、焼酎0.6合(110ml)が目安となります。

お酒の1単位(純アルコールにして20g)
alcholic

アルコール性肝障害の特徴はB型肝炎・C型肝炎と異なり、自らの意思でその発生を予防できるいう点です。しかし残念ながらその予防は実行できていないため、現実にはアルコール性肝障害の割合は増加しています。

いろいろな肝臓病

  1. アルコール性脂肪肝
    飲み過ぎによりまずなるのが脂肪肝(症状があることは稀で、腹部超音波検査で見つかる場合が多い)です。最近では食べすぎによる肥満や糖尿病による脂肪肝も増えていますので、飲酒をしている方はそれとの区別が必要です。飲酒が原因の脂肪肝は、飲酒をやめれば短期間で改善するのが特徴です。
  2. アルコール性肝炎
    脂肪肝の状態でさらに大量の飲酒をした場合にアルコール性肝炎(腹痛・発熱・黄疸の症状)という重症な状態になり、死亡する場合があります。アルコール性肝炎の診断がなされた人のほとんどは、その時点で断酒が不能のアルコール依存症(一時的にはお酒をやめたり控えたりすることができますが、早晩もとの飲酒量になってしまいます)になっています。アルコール性肝炎で運よく改善した人がまた飲酒を再開するとやがて肝硬変に進みます。
  3. 肝硬変
    肝硬変の状態がアルコール性肝臓病の最終段階です。日本酒で約7合を毎日10年以上飲み続けた場合約20%に、また15年以上飲み続けた場合では約50%に生ずるといわれています。重大な症状としては腹水・黄疸・吐血などが見られます。肝硬変と言うともう治らない病気と考えられていますが、アルコール性肝硬変の特徴のひとつに、断酒を継続していると肝硬変が改善するという点が挙げられますので、アルコール性肝硬変と言われてもあきらめないでください。

早期発見が大切!

お酒を常習的に飲んでいる方は、症状がなくても定期的に血液検査を受けるようにしてください。肝臓病の早期発見には血液検査を行ないますが、検査項目としてはAST(GOT)、ALT(GPT)、γ‐GTPがあります。γ‐GTPが高値の方はアルコールの飲みすぎが疑われますので、お酒の量を控える(1日平均2ドリンク:日本酒にして1合、ビールなら中びん1本程度)ことが大切です。もしAST(GOT)、 ALT(GPT)も高値の場合には肝炎が疑われますので、断酒が必要となります。